昨今の音楽教室裁判の件も含めて何かとネットで叩かれがちなJASRAC
普段ネットリテラシーを意識しているような人でも、JASRACの話になると「カスラック」だなんだとイメージありきで悪く言っています
そのことについて個人的には一部仕方ないかなと思っております
というのも権利や契約のことについて学校ではほとんど教えてくれません
なので学ぶ機会がないという意味で無知であることは今の日本ではありえてしまうので仕方ないかなと思います
しかし無知をいい事に調べようともせず叩くことはNOです!
私自身も昔はよくわかっていなかったんですが、調べてみるとネットの意見はだいたい的外れということも分かってきたので、自分が学んだことをここに残したいと思います
まずはじめに
ここからいろいろ説明していきますが、まず大前提として私は音楽業界の人でもお店で音楽を使うような人でもなく、JASRACと無関係の一般人です
そのため関係者からしたら違う!という話もあるかもしれません
また例えも使って学生にも分かるように簡略化しながら書きたいと思いますので、細かい部分を拾いきれない場合もあると思います
それらすべてコメントやTwitter等で意見をもらえれば確認します
そもそもJASRACは何をするところ
もし私が作曲家だとします
作曲家なので音楽を作った時点で著作権が発生し、権利が私のものになります
そして作った音楽を使いたい(ライブで使う、お店のBGMに流すとか)ということであればそれに対して許可を出したり対価を交渉したりします
ただこれ個人でやるとめんどくさいですよね
人気曲であれば年中電話やメールが来ることになるでしょうし、そのやりとりするだけで1日が終わりそうです
さらに怖いの無断利用で、北は北海道、南は沖縄、何なら海外まで、自分の音楽が勝手に使われていた場合にそれを把握することは困難です
つまり実質泣き寝入りするしかないです
音楽家として生きていくために重要な収入に関わる部分でありながら、その作業は膨大で実質困難なため、その作業をJASRACが代わりにやってくれます(そしてその作業費用として収益の一部を音楽家がJASRACに支払います)
つまりJASRACって音楽家の代理人と言えるかなと思います
よくある意見①:稼ぎすぎ
このニュースに対しても「稼ぎすぎ!」とか「カツアゲ」とかいろいろ言ってる方がいました
記事を見ていただくと分かりますが
2019 年度の徴収額は1157億円、分配額は1173億円を見込んでいる。
分配額、つまり音楽家に払われた額も過去最高なのです!
(むしろ徴収より分配が多いですが、これは時期のずれとかいろんな要因だと予想)
先ほどの音楽家の立場で考えると自分たちの収益が上がったということなので、ハッピーなことですね
そしてJASRACは代理人のようなものなので、契約している音楽家が文句を言うならまだしも、外野どうこう言うのは筋違いです
というわけで結論としてはJASRACがたくさん徴収できている=音楽家が稼げてるなので音楽業界的には良いことです!
よくある意見②:分配が不透明
「ちゃんとアーティストに分配されているか分からない」とかの意見もよく目にします
でもそもそもですが、JASRACって音楽家の代理人なので公的な機関とは異なります
なので他人が心配する必要もない話ですし、もし分配が正しくされていなければ音楽家側が即確認すると思います(私だったらそうします笑)
まあ音楽家の人がわざわざ「私はJASRACから○万円もらいました!!」とか書くことはないと思いますので一般人は分からないと思いますが、それはJASRACに限らない話です
他人から「あなたの会社がちゃんとあなたに給料払ってるか分からないから開示しろ!」って言われたら「はぁ?」って感じですよね笑
さすがに金額は書いてないですが、一部の音楽家の方はハッシュタグつけてツイートしていたりするので参考までに載せておきます
きたよ。こんな項目で手数料もちゃんときっちるわかるよ(2枚目)、校歌でもこんなかんじに出版の分きたりするのだ(3枚目) #印税分配日 pic.twitter.com/AlGM1JNXpT
— 猫貸し屋@イカ気味 (@nekokasiya) 2019年9月25日
僕レベルでもレッスン室の入り口から玄関まで行くから5mぐらいになってるのかな?
— 長坂憲道 (超合金) それ誰のため? (@v_accordion) 2019年9月26日
先日の総会後の懇親会でも話を伺いましたが多作著名な大先生の場合は明細書が封筒ではなく箱に入って送られてくるので、何mどころではなく何百mに及ぶかも(笑)#印税分配日 #分配明細書 #JASRAC https://t.co/gWvI7ZglNR pic.twitter.com/tvcOXxigIw
たぶん畑亜貴さんとかクラスになると毎回分厚い本レベルになっているのでは…
ここでの結論は配分が不透明なことの否定ではなく、音楽家個人の給料の話なので不透明なのは当たり前!です
その中でも全体の配分額(つまりJASRACと契約している音楽家の合計でいくら配分したか)を公表している分、一般的な会社よりまし、あるいは同等です
※上場企業であれば人件費とか役員報酬の合計額は公表されてますね
よくある意見③:サンプリング調査のせいで正しく配分されてない
まず大原則として、何の曲を使ったかは使った側が報告するということです
正確に報告されればそれに基づいて収益計算されるので、配分は正確になります
ただ、ライブハウスやお店のBGMで何をどのぐらい使ったか正確に報告するのはかなり面倒くさいこともあり、包括契約やサンプリング調査という方法が使用されます
ネットでよく上げられるこの記事もファンキー末吉さんかあるいはライブ主催者かライブハウスか誰かは分かりませんが、ライブした側が正確な報告をJASRACにしなかったから配分されなかったという本人の落ち度かと思ってます
(どの曲が該当するかは存じ上げないのですが、それでもファンキー末吉さんぐらいであればその他のところで音楽使われてて印税入ってもおかしくないのになとは個人的には思います)
そもそもサンプリング調査での配分は全体の数%という意見も見たのですが、これはソースが見つけられませんでした
もしソースがあれば教えてくれるとうれしいです
3/10 22:00追記
コメントで教えていただきました
https://www.jasrac.or.jp/release/pdf/17052401.pdf
こちらの5ページ目に記載がございます
いわゆる「サンプリング分配」方式を採用している種目は、現在では社交場生演奏などに限られ、全分配額に占めるこれらの割合は2016年度でわずか1.98%です。
さらに使った側の報告が面倒ということを考慮して実施されていたサンプリング調査ですが、技術の進歩もあり今後はなくしていく方針のようです
また、来年度中にサンプリング方式をやめる方針です。地上波ラジオなど、難しいところもありますが、基本的に(全曲報告データをもちいる)「センサス方式」を採用します。サンプリング方式の多かったライブハウスは、利用者や実演家の協力を得て、センサス方式に切り替えていって、今年12月か来年3月には、サンプリング方式がなくなると思っています。
というわけで結論としては原則使った側が正しく報告すれば問題なく、今後はサンプリング方式もやめる方針なのでなくなっていくだろうということです
いまはまだその改善の途中ということで一部正確でないことは否めないのかなと思います
まあこれらもJASRACを代理人として契約している音楽家が意見を言えばよく、何の関係もない一般人が抗議することはそもそも見当違いということが分かります笑
今回のまとめ
記事を書くことで改めて自分の学んだことを整理できた気がします
まあ音楽家でもJASRACに権利料を支払うわけでもない外野の人がいろいろ意見を言っても仕方ないということが分かれば良いかなと思います
むしろ好きな音楽家さんがいて、その方がJASRAC契約しているのであればむしろJASRACを応援した方がその音楽家さんが儲かって、今後も音楽活動を続けてくれる可能性があがるので良いですね
冒頭にも書きましたが私が間違っていることもあるかもしれませんので、ご意見・コメントお待ちしております
気が向いたらまた書きます